ギリシャにみる民主主義

 今、ギリシャの対応に世界が注目をしている。パパンドレウ首相はEUが合意した財政危機の包括的対策を受け入れるか、それとも受け入れずEUを離脱するのかを、国民投票に委ねようとしている。
 国民投票と言うと聞こえはよく、民主的な判断をしようとしているように思えるが、国民の判断が仮に緊縮策の履行を拒否した場合、EUからの金融支援は実施されず、ユーロ圏からの離脱につながる。これは、ギリシャの破綻のみならず世界経済への影響は必至で世界恐慌につながると言われている。
 国民投票は民意を反映し、正しい判断となるのだろうか。誰もがその判断を心配している。EU各国もG20の首脳も危うく思っている。 国民の意思がいつも正しいとは言えるのか、大きな疑問を感じずにはおれない。政治家が政治家たるとするならば、将来の国家と国民を守るべき判断をしなければいけない。
 民意を軽んじることは政治家として慎んでいかなければいけないが、民意に政治家の責任を転嫁することは、民主政治の死を意味することになる。